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全国転勤型スノーボーダー。3~4年に一回の転勤により、全国各地のゲレンデ付近に住む権利を与えられた40代。行ったことがあるゲレンデは道央・会津・沼田・白馬・妙高・奥美濃・兵庫を中心に50以上。豊富な経験をもとに効率的にスノーを楽しむコツを発信。
主なスタイル:キッカー・パウダー
全国のスキー・スノーボード愛好家の皆さん、オフシーズンですね!いかがお過ごしですか?
きっと皆さん昨シーズンを思い出しながら、撮影した動画を見返したり、早速オフトレに励んでいたりするのではないでしょうか。気の早い方は次のシーズンをどのように過ごすかの計画を立て始めているかもしれないですね。
ところで、最近世界的にChatGPTをはじめとした「生成AI」が大流行していますね。インターネットが普及したときと同じくらいの大変革が起こると言われています。
スノーボーダーと生成AI、youtubeで動画出している人とかを除けば一見あまり関係なさそうですよね。「ちょっと前に触ってみたときアホな回答しかもらえなかった」「日本の今の首相が安倍さんって嘘つかれた」という印象を持っている方も多いかもしれません。
でもこの生成AI、直近(2025年春時点)での発展は目覚ましく、スキー・スノーボードライフにも大きな力を発揮する可能性を秘めています。
私は本業の関係で生成AIにはそれなりに詳しく、せっかくですのでスノーボーダー目線でどのように活用するかについて考察していきたいと思います。
1. はじめに:生成AIがスノーボード上達の常識を変える?
真っ白なゲレンデを思い通りに滑り降りる爽快感。スノーボードは一度その魅力に取り憑かれると、どんどんのめり込んでしまう最高のウィンタースポーツですよね。しかし、その一方で、
「何度も同じところで転んでしまう…」 「YouTubeでハウツー動画を見ても、いまいちコツが掴めない」 「練習しているのに、なかなか理想の滑りに近づけない」
こんな「伸び悩みの壁」に直面している方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、私自身もそうでした。がむしゃらに滑り込んでも、どこをどう改善すれば良いのか分からず、悶々とした日々を送った経験があります。ターンがぎこちない、スピードコントロールができない、憧れのトリックに挑戦してもメイクできない…。こうした悩みは、レベルを問わず多くのスノーボーダーが抱える共通の課題です。その原因は、だいたい次の3つに分類できます。
- 自分の滑りを客観的に見られない:
自分ではまっすぐ滑っているつもりでも、実際には変な癖がついていたり、バランスが崩れていたりすることに気づきにくいものです。動画撮影してもらえば解決しますが、追い撮りのための機材を揃えるのも、追い撮りスキルを身につけるのも、追い撮りしてくれる仲間をつくるのも結構ハードルがあります。 - 情報過多で何が正しいかわからない:
インターネット上には上達のための情報が溢れていますが、どれが自分に合っているのか、今の自分に適したアドバイスはどれか?判断が難しいこともあります。 - フィードバックを得る機会が少ない:
仲間同士でワイワイ滑っている時って、人の滑りにあれこれ言いにくかったりしますよね。共に高めあう仲間や師匠みたいな人ができるか、あるいは中級者向けスクール(パークやグラトリ指導のやつ)に入ってみる以外に、的確なアドバイスをもらえる機会は限られています。
困りますよね。どれも簡単には解決できない問題です。さあどうしましょう。
AIがあなたの滑りをネクストレベルへ導く理由
もし、そんなあなたの悩みを解決し、スノーボード上達を劇的に加速させてくれる存在があるとしたら…? それが、近年急速に進化を遂げている「生成AI(人工知能)」です。
繰り返しになりますが、生成AIはもはや特別なものではなく、私たちの生活の様々な場面で活用され始めています。そして、使い方次第ではスノーボードの上達にも大きな力になります。
AIは、まるであなた専属の超優秀なコーチのように、これまで見えなかった課題を発見し、あなたに最適化された練習方法を提案してくれるんです。どういうことか、その可能性を一つずつ見ていきましょう!
客観的な分析力とパーソナライズされたアドバイス
AIの最大の強みの一つは、人間の目では捉えきれない細部まで分析できる客観性です。例えば、あなたの滑りを撮影した動画をAIに読み込ませることで、フォームの微妙な崩れ、重心移動のタイミング、目線の向きといった改善点を、データに基づいて具体的に指摘してくれます。
さらに、あなたのレベルや目標、課題に合わせて、一人ひとりに最適化されたアドバイス(パーソナライズされたアドバイス)を提供することも可能です。「次はここを意識して滑ってみましょう」「この練習を重点的に行うと効果的です」といった具体的なフィードバックは、まるでマンツーマンレッスンを受けているかのような感覚で、あなたの成長を力強く後押ししてくれるでしょう。
情報収集・整理の圧倒的な効率化
スノーボードの上達には、滑りの技術だけでなく、最新のギア情報、自分に合ったスキー場の選択、新しいトリックのコツなど、様々な情報収集も欠かせません。しかし、膨大な情報の中から本当に必要なものを見つけ出すのは大変な作業です。
ここでもAIが活躍します。例えば、行きたいエリアのスキー場情報を瞬時に比較検討したり、無数のハウツー動画の中から共通して語られている「上達の核心」を抽出したりと、情報収集と整理の時間を大幅に短縮し、あなたはより滑ることに集中できるようになります。
この記事でわかること:生成AIを使った具体的な上達ステップ
この記事では、特にGoogleが開発した高性能AI「Gemini(ジェミニ)」に焦点を当て、スノーボードが爆速で上達するための具体的なAI活用ステップを、私自身の経験も交えながら徹底解説します。草分け的な存在であるChatGPTもいいんですが、直近ではGeminiは無料で使える機能が多く課金せずともその機能を存分に味わえます。
- 自分の滑りの弱点をAIに見つけてもらう方法
- 難関トリック攻略のヒントをAIから得る方法
- 行きたいスキー場の情報をAIで深掘りする方法
など、すぐにでも試せる実践的な内容が満載です。AIという新しい武器を手に入れて、あなたもスノーボードのネクストレベルを目指しませんか? さあ、一緒にAI活用の扉を開き、まだ見ぬ景色を目指しましょう!
今回の記事ではまず、1,2を「動画分析」という形で実現する方法を解説します。
2. 【動画分析】生成AIがあなたの滑りを丸裸に!Geminiで弱点克服&長所を伸ばす
「自分の滑り、どこがダメなんだろう…」「どうすればもっとカッコよく滑れるんだろう?」 そんな悩みを抱えるあなたにとって、AI、特にGeminiは最強の動画分析パートナーになります。今まで感覚でしか捉えられなかった滑りの課題や改善点が、AIの客観的な視点によって驚くほどクリアに見えてくるはずです。この章では、Geminiを使った動画分析で、あなたのスノーボードスキルを飛躍させる方法の概要をご紹介します。
早速ですが、私のキッカーでの「バックサイド360」の動画をAIで分析してみました。まず次の動画を見て、それからその次の詳細解説を読んでみてください。
準備:効果的な動画撮影のコツ
動画はいかがでしたか?「ここまでピンポイントに解説してくれるの?」と驚いた方、「自分の動画にもアドバイスしてほしい!」と思った方、ここからコツについて解説していきますよ!
AIによる動画分析の効果を引き出すためには、まず「AIがあなたの滑りを理解しやすい動画」を準備することが大切です。特別な機材や技術は必ずしも必要ありませんが、例えば、滑っている全身がなるべくフレームアウトしないようにする、手ブレを抑える、といった少しの配慮で、AIはより多くの情報を読み取ってくれます。
明るい場所で、滑りの一連の流れがわかるように撮影することを意識しましょう。完璧な動画でなくても大丈夫。まずは気軽に撮影して、AI分析の第一歩を踏み出してみることが重要です。
特に、オフトレ施設での撮影動画はこの分析に適していますね。オフトレ施設はカメラ(スマホ)を置く場所が整備されていることも多く、同じアングルで同じトリックに挑戦しているところを複数回撮影できます。夜も照明があり明るさもバッチリです。
雪山で滑りながら撮影、いわゆる「追い撮り」「自撮り」をする場合は、その用途に合わせたアクションカメラが必要です。スマホでの撮影だと寒さですぐにバッテリーが無くなってしまいますし(スマホのリチウムイオン電池は寒さに弱い)、何よりもうっかりコケたときに落として壊れたりどっかいっちゃったりするかもしれません。「insta 360」なら、「消える自撮り棒」を備えるなどスノボ撮影にもってこいです。最新のバージョンはもちろん高機能ですが、正直何代か型落ちでも十分な性能なのかな?と思います。
参考までに紹介しておきますね。最新は「X5」という型ですが、2代前の「X3」なら約4万円割安です・・・。
Step1:失敗動画を生成AIに読み込ませて原因分析&改善トレーニング提案
誰にでも「なぜか上手くいかない滑り」や「繰り返してしまうミス」があるものです。そんな「失敗動画」こそ、上達への宝の山。生成AIにその動画を見せることで、あなた自身では気づけなかった失敗の根本原因を客観的に分析し、具体的な改善トレーニング方法まで提案してもらうことが期待できます。
ただ、この方法だとアドバイスの質にはちょっとブレがあります。生成AIの性質上AIは「失敗の原因かもね」くらいのことを断定的に言ってきます。なかには的外れなこともあるかもしれません。プロンプト(指示文)は同じままで良いので、何回か同じ作業をやってみて、複数得られたアドバイスの中から「これだ!」を感じるものを見極めましょう。
参考に、私が同じ動画、同じプロンプトで得られた2回の分析を紹介します。
<1回目>
テイクオフ時の軸のブレと空中での「おじぎ」姿勢が主な原因です。これにより回転力が失速し着地時に背中から転倒しています。
■失敗原因と改善策
- テイクオフの準備不足:
- 原因: キッカー直前での後傾姿勢と、上半身への意識が強すぎることによる下半身への力不足。
- 改善: 視線をリップの先へ向け、膝を使って真上に伸び上がるようにジャンプ。先行動作は板がリップを離れる瞬間に合わせましょう。
- 空中での軸の崩れ:
- 原因: ジャンプ最高点付近での「くの字」姿勢(おじぎ)。着地点を早く見ようとして視線を落とし、体幹が抜けています。
- 改善: 後ろの手(右手)を体の中心に引きつけ続け、胸を張っておへそを前に出す意識を持ちましょう。視線で回転をリードし、着地点が見えるまで視線を落とさないでください。
<2回目>
動画を拝見しました。バックサイド360成功の鍵は、テイクオフの修正にあります。
■主な失敗原因と改善策
- アプローチ:回転のエネルギー不足
- 現状: 姿勢が高く、ジャンプと回転に必要な「タメ」が不足しています。
- 改善: キッカー進入前に膝と腰を深く曲げ、体をしっかり「圧縮」して力強いポップと回転を生み出す「タメ」を作りましょう。
- テイクオフ:上半身の先行とポップ不足(最重要)
- 現状: 板がリップを離れる前に肩が開きすぎ(プリターン)、上半身の力だけで回そうとしています。また、板をしならせる「ポップ(オーリー)」ができていません。
- 改善: リップを抜けるまで肩のラインはボードと平行に保ち、後ろ足でリップを蹴り出してポップするのと同時に回転を開始してください。正しい順番は「タメる → ポップする → ポップと同時に目線と肩を回し始める」です。
- 空中:体の開きと目線の低下
- 現状: 回転力が足りず、空中で体が伸びきって回転が失速。膝が伸び、腕が開いて軸がブレています。目線も下を向いてしまっています。
- 改善: テイクオフ後は膝を胸に引きつけ、体をコンパクトにまとめましょう。常に進行方向の先(着地点)を見つけようと意識し続けることで、目線が回転をリードし、残りの回転を回し切るきっかけになります。
結構違いますよね…。
なのでこの方式は、結局のところAIのアドバイスをもとにして自ら考える力、一定以上のスノーボード力が必要となってきます。。。うーーーんちょっと微妙。その力が無いからAIに頼りたいのに…。
ということで次は、この弱点を埋める方法を紹介します!
Step2:成功動画と失敗動画を比較分析!生成AIと理想のフォームを追求
生成AIのバラツキを減らす方法、それは提供する情報を増やすことです。ユーザーからの情報が多ければ多いほど、ユーザーが求める答えに近づいてくるのが生成AIの特徴なんです。
ということで、この場合では失敗動画だけではなく「成功動画」を提供することが一番良い方法になります。
たまたま上手く滑れた瞬間を収めた「成功動画」と、いつもの「失敗動画」。この2つを比較分析させることで、両者の違いが浮き彫りになります。
「成功した時は、肩のラインがこうなっていたのか!」「失敗した時は、視線が下を向いていたな…」など、具体的な差異をAIが指摘してくれることで、意識すべきポイントが明確になります。これを繰り返すことで、自分だけの「グッドポイント集」が自然と蓄積され、理想のフォームへと近づいていけるでしょう。
私の冒頭の動画なんて、まさにその通りなんです。360回転なのでそんなに大きくアプローチでバックスイングはしなくてよくて「胸を張る」くらいの意識で十分なんですが、失敗動画はそれを怠っていたことをよくわからせてくれました。
ここのプロンプトは「4.」で解説しています
まとめ
オフシーズンは、来シーズンの爆速上達に向けた準備期間です。今回解説した生成AI(ChatGPTやGeminiなど)を活用した動画分析は、あなたのスノーボードスキルをネクストレベルへと引き上げる強力なツールとなります。自分の滑りを客観的に分析し、パーソナライズされたアドバイスを得ることで、「伸び悩みの壁」を打ち破り、理想の滑りに近づくことができるでしょう。
特に、失敗動画と成功動画を比較分析させることで、AIの分析精度は飛躍的に向上します。感覚に頼りがちだった課題が明確になり、効率的な練習が可能になります。生成AIを「自分専用コーチ」として活用し、来シーズンは新たな自分を発見しましょう!