こんな人向け
- グラブはそれなりにできるようになってきた
- いよいよ回りたい・回したい!
- グラトリでは回せているからキッカーでもできるはず!
いよいよスピントリックがやりたい!
ステップ5までを読んでキッカーの基礎を固めた方!ついに花形、スピントリックの練習に入りましょう!
ポークを入れたグラブもカッコいいですが、やっぱり一番華があるのはスピントリックです。中級クラス以上のキッカーではグルグル回っている人が多くなってきます。そこに混ざっていきたいなら、一見簡単そうでとっつきやすいフロントサイド180ではなくバックサイド180を練習しましょう。
なぜ?180ならどっちまわりでも一緒じゃないの?ここでは、そんな方向けの解説と、成功のポイントをご紹介します。
【タイパ重視派向け】超ショート解説動画
今回伝えたいことをまとめた約1分の超ショート動画です。
時間が無い方はこの動画だけでもだいたいわかるようにしています。
【じっくり派向け】なぜバックサイド180なのか?
バックサイド180とは、トゥエッジ側に半回転するトリックのことです。レギュラースタンスの方なら右回転、時計回りになりますね。よく略して「B1(ビーワン)」と呼ばれます。ちなみに一回転したらバックサイド360(B3)、一回転半ならバックサイド540(B5)です。
予備知識がなくスピントリックに挑むと、10人中9人は逆回転となる「フロントサイド180」(またはオープンサイド180)を練習し始めるのかなと思います。レギュラーの場合左回り、反時計回りの回転です。フロントサイド180は進行方向をずっと目視できているので、カンタンそうに思えますよね。グラトリで成功したことがある方も多いかもしれません。
でも、グラトリの延長のような感覚でキッカーでフロントサイド180のが一番危険です。リップ抜けるときに板が90度くらいもう回ってしまっていて、高さも出ない極めてダサいスピントリックのクセがついてしまいます。注意しましょう。
バックサイド180から練習を始めると、そういった危険を回避できます。それには大きく2つの理由があります。
理由①:トゥ抜けなのでバランスが取りやすい
「トゥ抜け」「ヒール抜け」という言葉があります。これは、リップを飛んでいくときにトゥエッジ側に乗っているかそれともヒールエッジ側に乗っているかということです。
ストレートエアーではあまり意識しない、スピントリックならではのポイントで、乗っている側に回転するためのきっかけを作るものです。
レギュラースタンスの場合トゥ抜けならバックサイド側・時計回りに、ヒール抜けならフロントサイド側・反時計回りに回っていくことになります。
トゥ抜けはとてもバランスが取りやすいので、ストレートエアーを練習しているうちに、知らず知らずのうちにトゥ抜けに近い形で飛んでいるようになっているのではないかなと思います。
つまり、これまでのストレートエアーの練習で慣れ親しんでいたであろうトゥ抜けそのままの形で挑めるので、リップで踏み切るオーリーがやりやすいです。
ストレートエアーでもスピンでも、オーリーをしっかりかけて高さを出すほうがカッコよくなるのは同じです。トゥ抜けのB1を練習していくことで、高さのあるスピントリックの基礎をしっかりと習得することができます。
補足ですが、トゥといっても完全つま先でなく、上の画像でマークしている土踏まずの上あたりに体重をかけてください。ここが一番安定します。
ちなみに、ヒール抜けというやつは「まくられる」、つまり大きくバランスを崩して墜落するときの抜け方に近いです。私は個人的に苦手です。
理由②:180なのにカッコいい
単純にこれはこのままです。フロントサイド180は正直スピントリックとして認めていいものかギリギリのラインですが、バックサイド180はとてもスタイリッシュなので間違いありません。
ミュートグラブなどを入れるとさらにカッコよさが増します。回りから歓声が上がるレベルです。
また、技としての発展性も高いです。ミュートでなく板の前側先端、ノーズを掴む「B1ノーズグラブ」はコマのように回る姿がオシャレですし、「レイトB1」という通常より遅く回りだすバックサイド180も玄人好みです。
これらはいずれも、バックサイド180ができればあと少しの練習でほぼできるようになります。どちらも似たような技にもかかわらず、そのカッコよさから回りからはしっかり別の技として認識してもらえるでしょう。
バックサイド180を習得するための最速上達プラン
続いて、習得するための練習方法を解説します。それは、次の4つを守ることです。
私が何百回もキッカーを飛ぶなかで体感してきたものです。私よりセンスがある方はもしかしたらこんなこと考えず一発でできるのかもしれませんが、逆に言えば私くらいセンスがない方でもこの4つを守って練習すればできるようになります!
- トリックを「段階」別に分けて考える
スピントリックは複数の身体の動きが必要です。はじめて挑戦するときにいっぺんに色々やろうとしても身体がついてきません。なので、「アプローチ中」「着地」などの段階別に整理していく必要があります。 - 「段階」ごとの成功率を上げる(再現性を高める)
分けた段階ごとに集中して練習していきます。次飛んだときも同じことが再現できるという自信がないと、その次の段階のことに意識が向きません。ではどこまで成功率を上げればよいかというと、おおよそ3回飛んで2回はできるようになるくらいです。 - 次の「段階」のことは前の「段階」ができるまで気にしない
次の段階は当然練習していないので、失敗だらけになります。例えばリップを抜ける練習をしているときは、後ろ向き着地の練習をまだしていませんので着地で尻もちをつきまくることになります。でもいいんです。物事には順番があるので、気にせず今の段階を練習しましょう。 - ケガ対策を万全にする
次の「段階」のことは気にしないので、完成するまでは当然コケる回数が多くなります。コケる前提でケガをしないために、まずはあまり大きくない安全なキッカーで練習をしましょう。また、プロテクターについてもしっかりとしたものを装着するようにしましょう。
次に、その「段階」を1〜4に分けてそれぞれ解説します。
段階1:アプローチのライン|トゥ→ヒール→トゥ
アプローチはとても大事です。トゥエッジに乗る→ヒールエッジに切り返す→トゥエッジに戻してそのままリップを抜ける、という動きですが、このタイミングがしっかりとハマれば70%くらいはできたも同然です。飛び出したあと勝手に身体が回っていきます。
そのアプローチを成功させるためには、まずはスタートする前にアプローチを眺め、どこでヒールに切り返すか、どこでトゥに戻すかをしっかりとイメージすることが重要です。イメージが固まれば、あとはそれを実践するだけ。フリーランがきちんとできるのであればこれは容易いはずです。
どこでヒールに切り返すか、どこでトゥに戻すかはキッカーの形状にもよるので一概には言えませんが、基本的にはトゥに戻すところはアールの手前になります。ヒールに切り返すところは逆算してボード2枚分くらいその手前といったところでしょうか。
ちなみに、リップへ駆け上っていくところではエッジの切り返しは絶対NGです。バランス保てない、オーリーする間がない、スピード削られるなど、失敗する原因がいくつも襲いかかってきますので、注意しましょう。
段階2:アールからは胸を張る|内倒防止
アール、つまりリップに向けて駆け上がっていく部分からは、「胸を張る」ことを意識しましょう。回す意識が強すぎると知らず知らずのうちに上半身が「く」の字になってしまいます(このことを「内倒」ナイトウと呼びます)。このまま飛び出すと、頭を軸に旋回する変なバックサイド180が誕生してしまいます。
とってもダサいのですが、危険なのはこれでも飛んでいる本人にはなんとなく「できた!」感が出てしまうことです。これを成功と思い込み、この形を身に着けてしまうと修正するのが大変です。「胸を張る」ことをしっかり守ってください。
段階3:リップではしっかりオーリー|早抜けしない
高さのあるバックサイド180はとてもスタイリッシュです。しっかりとオーリーして高さを出しましょう。
オーリーをしっかりすることは、早抜け防止につながります。ストレートエアーでの早抜けはリップ手前で飛び上がってしまうことでしたが、スピントリックにおける早抜けとは「早めに回りはじめてしまうこと」です。
動画撮影してみてリップ抜けるところで止めてみるとわかりやすいのですが、180くらいのスピンであればリップ抜ける際はボードが進行方向に対しほぼ真っ直ぐになるくらいがベストです。45度くらい旋回してしまっている場合は早抜けで失敗していると考えましょう。
それで回れるのか心配になるかもしれませんが、段階1・段階2がしっかりできていれば大丈夫です。空中に飛び出したあと勝手に身体が時計回りを始めるはずです。
段階4:着地は下を凝視|タイミング合わせ
着地では前が見えません。いわゆる「ブラインド着地」というやつです。ではどうやってタイミングを取るか?これはもう、見える範囲で見えるところ、つまり真下を凝視していくしかありません。
バックサイド180で一番難しいのはこの着地です。タイミングがつかめないと突如着地の衝撃が足裏を伝わってきて、耐えきれず尻もちをつくことになります。何度も練習して、タイミングをつかんでください。
まとめ
バックサイド180は、初心者にとって最適なスピントリックです。なぜなら、
- トゥ抜けなのでバランスが取りやすく、
- 180なのにカッコいいからです。
このステップ6では、バックサイド180を成功させるための2つの理由と4つのポイントを解説しました。
まだ不安な点がある方は、動画を参考にしながら練習してみてください。
※この記事は、安全を第一に考えて作成されています。キッカーに挑戦する際は、必ずヘルメットやプロテクターを着用し、周囲に注意して滑りましょう。
バックサイド180をもっと極めたい!という方はこちら